第1章

--

ART in the Age of Hyper Tecnorogical Reproductions 2023 3 24 - 5 21 11:00 - 20:00

超複製技術時代の芸術

分有、アウラ、超国家的権力

NFTはアートの何を変えるのか?

再定義される「所有」
−分有、万有、半有−

NFTは「デジタルデータの価値を担保し、真正性を高める技術」であり、「情報の改竄が困難な真贋証明書」と言われる。その土台となるブロックチェーン技術の登場以降、インターネット上に無数に存在し、半ば公共財として無限に複製できた画像や音楽や映像が突如、唯一無二の希少価値を持つものとして高額で売買され、私有財産として所有されるようになった。仮想空間上のアバター、SNSのプロフィール、アニメ化、ゲーム化など将来の実用性を見込んださまざまなNFTアートが無数に登場し、人々を投機へと駆り立てたが、アーティストたちは、NFTの本質を眼差し、その実用性を奪い、機能を転倒させ、従来の意味を拡張する方法を発明してきた。本章では、その中でもNFTによって生まれた新たな「所有」の形に介入することで独自の表現を探究する作家たちに焦点を当てる。所有者以外にもあらゆる人に所有権を与えて作品を「万有」させるレア・メイヤーズやチームラボ、デジタルと物理を一対で制作後いずれかを変化・消失させて「半有」させるダミアン・ハーストや鎌谷徹太郎などの作品を通して、NFTでしかあり得ない固有の表現とその歴史的な価値を提示する。

DAMIAN
HIRST

8348. She called me with a set,
from The Currency

2021年、ハーストはドット状の絵画をデジタル化したNFTを1万点発行し、1作品2000ドル(約20万円)で抽選販売した。しかし、所有者は購入1年後、NFTのまま保管するか、現実の絵画と交換するかを選ぶ必要があった。NFTを選べば絵画が焼却され、絵画を選べばNFTが消去されるため、物質かデータのどちらに作品の価値があるかが所有者に破壊的に問われた。最終的に5,149人が絵画を選び、4,851点のNFTが残された。回答期限後、ロンドンのギャラリーの壁に設置された焼却炉で、消防服を着たハーストが選ばれなかった絵画4851点、販売当初価格で10億円以上を焼却した。歴史を鑑みれば、1970年、ジョン・バルデッサリが過去13年間に描いたすべての絵画を焼却したり、1994年、ビル・ドラモンドらが現金1億5000万円相当を燃やしたパフォーマンスを引用し、資本主義的な現代アートを皮肉っていると解釈できる。

RHEA
MYERS

Certificate of
Inauthenticity

800億円以上の資金調達で「Web3」を牽引する最先端企業のひとつダッパーズラボの主任研究員を務めるレア・メイヤーズは、2013年からブロックチェーン技術固有の美学を探求し、NFTアートの先駆として世界的に知られる。メイヤーズは、美術史に残る傑作のうち、既製品を転用した作品(マルセル・デュシャン「泉」やジェフ・クーンズ「Balloon Dog」)に焦点をあて、その3Dデータを作成した。そして、それらを誰でもダウンロードして3Dプリントできるよう無償で公開した。作品の真贋証明書はNFTとして販売され、同じBalloon Dogを所有していてもNFTの有無によって真贋が変化する状況を生み出す。複製芸術の真正性や、デジタル情報を私的に所有する権利を真っ向から否定する本作は、大量生産された安価な既製品が特定の作家の著作物となり、希少価値を帯び高額で取引される錬金術的な現象の源泉に迫ろうとする。

TETSUTARO
KAMATANI

The Dream of
a Butterfly

5万匹の蝿を樹脂で閉じ込めた絵画と、所有者が変わる度に永続的に変化し続けるNFTの一対から成る。さまざまな動植物で過剰に華やかに装飾された頭蓋骨を無数の蝿の死骸の上に描くことは「栄華に満ちた人生も虚しくいつか朽ち果てる」という西洋画のヴァニタス(富や名声の無常を表す静物画)の引用と解釈できる。戦火の果てに焼失した平等院の模型で額装したことでその意味はさらに補強される。題名が「夢は現実か、現実が夢か」を問う古代中国の思想家・荘子の説話「胡蝶の夢」から取られ、対となるNFTが仮想空間上で恒久的に存在し続けることも、現実の脆さを強調する。NFTには所有者が変わると作品のイメージも変化するアルゴリズムが組み込まれているため、固有のイメージは永遠に所有できない。表層的な芸術の所有を否定するコンセプチュアル・アートの系譜に位置付けられると同時に、真の芸術は誰にも所有できない、というメッセージとしても理解できる。

TEAMLAB

Matter is Void -
Black in White

NFTはデータに私的な所有権を与える技術だが、本作ではNFTを所有しているかどうかに関わらず誰もが無料で作品をダウンロードして所有者になれる。ただし、作品の文字を自由に書き換えられるのは、《Matter is Void》シリーズ全7種のNFT所有者だけだ。誰かが文字を書き変えると他のすべての所有者の作品も同期して書き換えられ、例え同じ言葉を書いたとしても二度と元の状態を表示することはない。所有者と作者の垣根は取り払われ、複数人の共創によって作品の外見と価値は変化し続ける。それは、本作の「Matter is Void」(物質は空虚)という題名が示唆する、仏教の「色即是空」(この世のすべての物に永久に変わらないものなどなく、本質は空虚である)を表現する。作品の真贋はNFTによって区別されず、すべて本物である点においては、レア・メイヤーズ同様、オフチェーンの反資本主義的な「公共性」の美学が探求されている。

SETH
SIGELAUB

The Artist’s Reserved Rights
Transfer And Sale Agreement

「コンセプチュアル・アートの父」と呼ばれるキュレーターのセス・ジーゲローブは、1971年、多くの美術関係者との対話から着想を得て、弁護士ロバート・プロジャンスキーとともに本契約書を制作した。デジタルアートを含むあらゆる媒体の作品の再販、複製、レンタルなどの際にアーティストの社会的・経済的利益を保護するための法的文書で、英語、フランス語、ドイツ語など5カ国語で発行され、折り畳み式ポスターとして無償配布された。アート界に普遍的に存在する不公平、特に作家が作品を購入者に譲渡後、作品の管理に関与できず、二次流通で莫大な経済的利益が生まれても一銭も得られないことを是正する手段として作者のロイヤリティー、コレクターの権利や責任などが規定されている。本展では、NFTにおける非物質的な作品の権利保護の仕組みを理論的に先取りし、オープンソースとして誰もが自由に利用・改変できる点を再評価し、歴史的起源のひとつとして展示する。

デジタルのアウラ

20世紀を代表する哲学者ヴァルター・ベンヤミンは、1936年の著作「複製技術時代の芸術」において、コピーの起源となる芸術作品だけに宿る真正性を「アウラ」と呼んだ。そして、複製技術によって芸術作品の「アウラ」が消滅する未来を予言した。しかし、ベンヤミンの予想を裏切って、アンディ・ウォーホルのマリリン・モンローの絵画が2022年に200億円で落札されたように、20世紀を通して複製は逆に「アウラ」を増幅する装置として機能してきた。NFTがいま現実に引き起こしていること——コピーとオリジナルの区分が判然とせず、場所や空間から切り離されたデータがまるで唯一無二の価値を持つものとして高額で取引される現状——は、ベンヤミンが提起した問題の更新を要請している。ゆえに、本章ではテクノロジーと芸術の関係を探求してきた4名の作家たちに焦点を当て「デジタルのアウラ」について考える。「アウラ」の語源となった古代ギリシャ語の「魂」の意味まで遡り、存在の根源を問う森万里子やルー・ヤン、そして物ではなくアルゴリズムを作品の本体とするラファエル・ローゼンダールとその開祖と言えるソル・ルウィットの作品を通して、表面的で物質崇拝的な価値観を批判し、芸術の本質的な価値はどこにあるのかを改めて問う。

MARIKO
MORI

Eternal
Mass

白い空間を漂う1対の生命体のような3D彫刻《Eternal Mass》は、世界のすべてを振動する1次元の小さな線から説明する超弦理論に着想を得ている。世界を10次元で説明する超弦理論では、空間+時間の4次元に加え、人間に知覚できない次元がさらに6つ存在する。作家は、この「見えない6次元」が必ず対として存在する現象(「カラビ・ヤウ多様体」のミラー対称性)を、男女一対の神々が天地を創造したという日本の古代神話に重ね合わせた。科学が記述する素粒子の超近代的な理論と、輪廻転生や魂の信仰をひとつなぎにした本作は、生命や物質の根幹をなす原理の表現と解釈できる。NFTの所有者には《Eternal Mass》を構成する真珠のような球体がひとつひとつ配布され、所有者同士で「対」をつくり、新たな球体を生み出せる。NFTの経済的取引は生命が結ばれ新しい命を育むことの比喩へと変換される。

SOL
LEWITT

Arcs,Circles,&Grids

1970年代初頭、ソル・ルウィットは、直線的で平行な鉛筆のドローイングに、円弧や円を加えるようになった。1972年、スイスのベルン美術館のために制作した《弧と円と格子》には、題名の3つの要素のあらゆる可能な組み合わせを描いたペンとインクのドローイングが収められており、本作はそのエディションのひとつである。本作では、線の種類(円弧、円、格子)と、ページ上のすべての点(四隅と辺の4つの中点)を考慮に入れた組み合わせが、一定のルールをもとに生成されている。弧と円が重なり合うことで無数のパターンが生み出される点に加え、単純なモチーフが反復され、指示書があればどこでも誰でも同時展示可能であり、紙片から巨大な壁面までスケールが問われない点において現代のアルゴリズム絵画の先駆であり、NFTによる芸術の起源として位置付けられる。

RAFAEL
ROZENDAAL

Cabinet 41

1990年代後半からコードの記述によってスクリーン上で変容する絵画を制作してきたラファエル・ローゼンダールは、インターネット上に始まりも終わりもない絵画をいくつも発表してきた。作品に固有のドメインを与え、アルゴリズムで作品をつくる作風で、インターネット以降の代表的作家として世界的に知られる。本作は2022年に発表したフルオンチェーンのNFTシリーズで、アルゴリズムによって自動生成されたスクリーン上の絵画だ。本展では、物理空間で高さ3メートルまで拡大された壁画とモニターに映し出されたデジタル画像が対になって展示される。複数同時に異なるスケールへ変化できるデジタル画像特有の方法論が現実空間に応用されている。本展では「アルゴリズムとしての絵画」をコンセプチュアル・アートの先駆者として知られるソル・ルウィットの作品を並置することで、NFTという媒体が非物質を模索してきた現代アートが行き着く必然的な帰結であることを示す。

LUYANG

The Great Adventure of
Matertal World - Game Film

科学、芸術、宗教を横断するゲーム『マテリアルワールドの大冒険』は、物理的・認知的な世界についての人間の常識に挑戦し、仏教的な悟りを啓くかのような境地を体験させる。本作は、仮想空間「マテリアル・ワールド」の騎士に導かれ、いくつもの異なる世界を旅しながら何度もアイデンティティを変容させる物語だ。8つのエピソードで、宇宙を探索し、エネルギーを獲得し、破壊と再生を繰り返し、感情や欲望との内なる戦いを経験する。劇的な音楽とともに、無性愛者の騎士が、男と女、生と死、幸福と苦悩、欲望、永遠、輪廻について観察し、哲学的な思索を繰り広げる。「現世の苦しみを終わらせるには、その原因である自己への執着を断ち、夢のような物質世界に対する誤った信仰を破壊しなければならない」と語る本作は、科学史観を基盤に超近代的な視点から徹底して宗教的な世界観を解体しながら、逆説的にアジアの神話や仏教的な悟りなど前近代の普遍的なものへと繋がっていく。v

新しい公共(コモンズ):
超国家的権力と社会運動としてのDAO

NFTの特徴は透明性、永続性、自律性の3つに集約できる。それは、一種の貨幣のようなものとしてコミュニティを循環し、所有者同士が交流できるオンラインスペースへのデジタルな鍵としても機能する。また、NFTはプログラムによって権利と義務を明確化し自動実行するため、公平性という点において人間以上に信頼でき、利益の適切な再分配を可能にする。ゆえに、ときにNFTは所有権以上の価値あるものとして売買され、創造的で貢献度が高い分散型の自律的なコミュニティ(通称DAO)を構築する。NFTの所有者たちがコミュニティに所属することを誇りとして作品の共同制作者かつ管理者の役割を果たすことを現代美術史から敷衍するなら、鑑賞者に作品への参加を促す「関係性の美学」の発展系とみなせる。ベンヤミンは複製技術に基づく芸術は権威的な伝統や歴史を断ち切り、ファシズムに対抗して民主化を進めると予言したが、本章では、NFTに宿るそのような新しい公共性に焦点を当てる。アートの民主化をNFTによって試みる施井泰平や藤幡正樹、創造的なオンライン文化の発展のために寄付する高尾俊介、ときに国際戦争や国家権力にさえ対抗する力をNFTを媒介に生み出すUkrianeDAOはベンヤミンの夢見た世界の一部を実現している。

SYUNSUKE
TAKAO

3D Print Generativemasks
Generativemasks

日記のように短いコードを書く習慣を続けながら、プログラミングを日々の生活や風土に結びつける活動「デイリーコーディング」を提唱する高尾俊介が2021年に発表したプロジェクト。プログラミング言語のJavaScriptの1種「p5.js」を使用した作品で、再読み込みするたびに、さまざまな民族文化の紋様から着想を得た多種多様な表情のマスクが自動生成される。発表から2時間で全1万点で完売し、約3億円を売り上げたが、収益の全額をジェネラティブアートに関する団体へ寄付した。本展では、DMM.makeの協力により3D印刷されただけでなく、各個体に異なるNFCチップを埋め込まれ、スマートフォンから作品や所有者の情報などを確認することができる。本作は、さまざまなアーティストの活動を多様化させ、持続可能な仕組みをつくる点で、ひとりの作家の制作を超えて、NFTによって芸術を民主化し新たな公共をつくりだしている。

TAIHEI
SHII

IT II

一見本棚のようだが、薄く切り取られた本の背表紙がキャンバスに敷き詰められている。中身を読むことは叶わないが、それゆえ個々の本は想像の世界への扉であることが強調される。本棚を「データベース」と考えるなら、本作は検索する言葉で異なる世界へつながるインターネットをテクノロジーを使わずに表現した「情報の絵画」と解釈できる。作家は、本作と同時期に「テクノロジーによってアート界のインフラ自体をつくる」という作品のアイデアを構想し、10年以上の歳月をかけ、NFTを含むブロックチェーン技術でアートを変革する企業「スタートバーン」を立ち上げた。絵画の隣の映像では、人工知能「Chat GPT」と作家が対話し、起業の経緯などを語る。世界中の芸術のプラットフォームをつなげて、NFTによって無名の作家も自立できる仕組みをつくる試みは、従来のヒエラルキーを崩す「新しい公共」に根差した芸術の出現を予感させる。

MASAKI
FUJIHATA

Brave New Commons

2021年、作家は昔のマッキントッシュで1980年代に作成した画像データをNFT作品として30点販売した。ただし、通常のオークションでは欲しい人数が増えると価格が青天井式に上がるのとは逆で、本作では購入者数が多い作品ほど0円に近づく形で最終価格は下がっていく。言い換えれば、通常の価格設定とは異なり、購入者が作品に価格を民主的に与えることが試されている。本作は、NFTを通してオンライン上の実験的な共同体に参加するよう人々に呼びかけ、資本主義に逆行する価値や、所有できない新しい公共性を生み出そうとする試みだと言える。タイトルがテクノロジーによって人間が尊厳を失う1932年のディストピア小説「すばらしき新世界」(Brave New Wolrd)のオマージュであることは、この技術がユートピアとなるか、ディストピアとなるかを問いかける。

UKURAINE
DAO

Ukurainian Flag

ウクライナとロシアの戦争勃発を契機に、ロシアのパンクバンド「プッシー・ライオット」の創設メンバーのナジェージダ・トロコンニコワは複数のNGOと分散型自律組織「ウクライナDAO」を立ち上げ、ウクライナの国旗をNFTとして発売した。共同入札という方法でオークションにかけられ、3271人の入札者によって最終的に約8億円で落札された。すべての収益は、戦争で傷つき困窮した民間人のために、ウクライナのNPO「Come Back Alive」に寄付された。しかし、寄付の願いに反した使い方がされたため、アーティストとウクライナ政府は袂を分かつ。本作は、寄付した暗号資産で食料やエネルギー、軍事物資が実際に購入され「世界初の暗号戦争」を象徴するものとなった。同時に、オンラインで中心なき超国家的な連帯が生まれ、ときに国家以上に力を持ち、現実の社会を変えた点で、NFTを媒介にした芸術が社会を変革する未来を暗示した。

作家 / 監修者 / 企画者 略歴

作家

ダミアン・ハーストアーティスト。 1965 年ブリストル(英国)生まれ、ロンドン、デヴォン(英国)在住。1988年、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ在学中 世界的コレクターであるチャールズ・サーチの支援を受けて、英国現代美術に旋風を巻き起こし、世界的にその存在を認知させたYBA 現象の中心的存在。 1995 年、ターナー賞受賞。2017年、ヴェネチア・ビエンナーレに合わせて世界的大富豪フランシス・ピノーが所有するグラッシ宮殿にて、 70 億円の私財を投じて個展「 Treasures From the Wreck of the Unbelievable 」 を開催、 330 億円以上を売り上げ、話題となった。 近年の主な個展に「桜」 カルティエ現代美術財団、パリ、 2021 / 国立新美術館、東京、 2022 )、「ダミアン・ハースト」(テートモダン、ロンドン、 2012 )など。

施井泰平美術家、起業家。2014年、東京大学大学院在学中にスタートバーン株式会社を起業し、アート作品の信頼性担保と価値継承を支えるインフラを提供。事業の中心である「Startrail」は、イーサリアム財団から公共性を評価されグラントを受ける。東方文化支援財団理事、一般社団法人Open Art Consortium理事を現任。東京藝術大学非常勤講師、経済産業省「アートと経済社会を考える研究会」委員などを歴任。作家として、個展やグループ展の実施をはじめ、「富士山展」(2017~2020年)、「SIZELESS TWIN」(2022年)、「ムーンアートナイト下北沢」(2022年)などの展示を企画。主な著書に平凡社新書『新しいアートのかたちNFTアートは何を変えるか』などがある。

ルー・ヤン上海生まれ。上海/東京を拠点に活動。宗教、哲学、神経科学、心理学や現代のテクノロジーを領域横断的に融合させ、幻想的で、しばしば痛々しくショッキングなイメージを作り出している。その芸術実践の成果は、ゲーム・エンジン、3Dアニメーション、ヴィデオ・ゲームのインスタレ ーション、ホログラム、モーション・キャプチャー・パフォーマンスなど多岐にわたる。クンストパレス・エアランゲン(エアランゲン、ドイツ、2022年)、スパイラルガーデン(東京、2018年)、Mウッズ美術館(北京、2017-2018年)などで個展を開催。近年の大規模なテーマ展に、アジア・ソサエティ・トライアニュアル(ニューヨーク、2021年)、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア、2022年)。BMWアート・ジャーニー(2019年)、ドイツ銀行の「今年の芸術家」(2022年)に選ばれている。

森万里子アーティスト。1967年、東京生まれ。主な受賞に、1997年、ヴェネチア・ビエンナーレ優秀賞、2001年第8回日本現代藝術奨励賞、2014年ロンドン芸術大学より名誉フェロー授与など。主な個展に「ピュアランド」(東京都現代美術館、2002年)、「 Oneness」 (グローニンガー美術館、 オランダ/アロス・オーフス美術館、 デンマーク/ ピンチュック・アート・センター、 キエフ、ウクライナ)。 その他、ロンドンのロイヤルアカデミー・オブ・アーツ、ポンピドゥーセンター(パリ)、プラダ財団(ミラノ)、 シカゴ現代美術館、ブルックリン美術館(ニューヨーク)などで多数開催。「Oneness」 展は入場者数50万人を記録し、当年の展覧会入場者数で世界1位となった。主な所蔵先に、サンフランシスコ近代美術館、ニューヨーク近代美術館、グッゲンハイム美術館、ポンピドゥセンター、公益財団法人福武財団など。

ソル・ルウィットアーティスト。1928年アメリカ・コネティカット州生まれ、2007年没。シラキュース大学を卒業し、ニューヨークのスクール・オブ・ヴィジュアル・アーツで美術を学ぶ。66年より、立方体の基本構造をシステマティックに視覚化した「シリアル・プロジェクト」シリーズを制作。翌年、『アートフォーラム』誌にてエッセイ「コンセプチュアル・アートに関する断章(パラグラフ)」を、69年には『アート&ランゲージ』誌にて「コンセプチュアル・アートのセンテンス」を発表。芸術のもっとも重要な要素は概念であって、作品制作に伴う計画・方法・実行は形式的なものにすぎないという宣言する。68年頃より、自らが関与することなく指示書によって第三者に制作を委ね、決まった長さの線を放射状に描く「ウォール・ドローイング」シリーズを展開。その作品は、コンセプチュアルアートやミニマルアートの先駆として、ニューヨーク近代美術館、テート美術館、サンフランシスコ近代美術館、東京国立近代美術館など世界中の美術館に収蔵されている。

高尾俊介クリエイティブコーダー。1981年、熊本県生まれ。2004年、筑波大学第二学群比較文化学類比較・現代文化主専攻卒業。2008年、情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科修了。2021年、日本発ジェネラティブアートのNFTコレクション「Generativemasks」を発表、945ETH(約3億円)にて二次流通で取引されたことで国内トップクラスのNFTプロジェクトとして認知された。主な個展に、「Tiny Sketches」(NEORT++,東京、2022年)など。近年の主なグループ展に「Magical Realism: Part I」(Verse、ロンドン、2022)、「デジタル骨董展 ーこれからの価値と所有を考える」(BE AT STUDIO HARAJUKU、東京、2022)、「Crypto Art Week Asia Tokyo」(六本木DMM麻布サテライト、東京、2022)、「仮想四畳半」(WA MACCHA 京都祇園、京都、2022)、「ART IN METAVERSE」(Under Stand Avenue、ソウル、2022)など。主な受賞に「Pen クリエイター・アワード2022」審査員特別賞受賞など。

レア・メイヤースアーティスト/ハッカー。1973年、イギリス生まれ。ブロックチェーンの領域を牽引する世界的企業のひとつ「Dapper Labs」スマートコントラクト部門シニア開発者。現在、カナダのバンクーバーを拠点に活動。カンタベリー芸術大学を卒業後、ミドルセックス大学電子芸術センターでジェネレーティブアート、3D印刷などを学ぶ。2013年にバンクーバーに移住後、ブロックチェーンの文化、思想、技術を主題に作品制作を開始。2014年、イーサリアムのスマートコントラクトを媒体にした「This Contract is Art」を発表、ブロックチェーン技術を芸術のための道具として採用した最も早いアーティストのひとりとして知られる。2021年、コードによって記述された不可視の作品「隠された芸術」(2018)がサザビーズでおよそ1,000万円で落札されたことでも話題となった。

セス・ジーゲローブキュレーター。1941年ニューヨーク生まれ、2013年バーゼル没。特に68年から70年にかけて、ローレンス・ウェイナー、ジョセフ・コスース、ロバート・バリー、ダグラス・ヒューブラーなどと共にコンセプチュアルアートの運動を積極的に推進。完全な「紙上の展覧会」として開催されたゼロックス・ブックをはじめ、革新的なプロジェクト、シンポジウム、展覧会などを企画。その後、パリへ移住し、IMMRC(International Mass Media Research Center)の設立に関わる。2011年、自身の持つ初期の重要なコンセプチュアルアートの作品を含む膨大な資料をニューヨーク近代美術館に寄贈。2015年、アムステルダム市立美術館にてその業績を回顧する「セス・ジーゲローブ:コンセプチュアル・アートを超えて」展が開催された。

ラファエル・ローゼンダールインターネット・アートの代表的作家。1980年オランダ生まれ/ニューヨーク在住。シンプルな造形と動き、象徴的な色彩、遊び心に満ちたプログラム映像とインストラクションをウェブ上で発表し、それらを用いたインスタレーションや、絵画、タペストリー作品などを現実の展示空間でも展開してきた。近年の主な展覧会にホイットニー美術館(ニューヨーク)、ポンピドゥ・センター(パリ)、ドルトレヒト美術館(ドルトレヒト)、クンストハル美術館(ロッテルダム)、ステデリック・ミュージアム(アムステルダム)、アーマンド・ハマー美術館(ロサンゼルス)がある。日本との関わりも深く、2009年にAITレジデンシープログラム参加を皮切りに、Takuro Someya Contemporary Artで2010年から5回の個展、茨城県北芸術祭(2016)、そして2018年に十和田市現代美術館(青森)で初の美術館個展「GENEROSITY 寛容さの美学」を開催。今年4月にドイツを代表するフォルクヴァンク美術館(エッセン)で個展を控えている。著書には『Home Alone』(Three Star Books )、『Everything, Always, Everywhere』(Valiz)がある。

チームラボアートコレクティブ。2001年から活動を開始。集団的創造によって、アート、サイエンス、テクノロジー、そして自然界の交差点を模索している国際的な学際的集団。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。チームラボは、アートによって、自分と世界との関係と新たな認識を模索したいと思っている。人は、認識するために世界を切り分けて、境界のある独立したものとして捉えてしまう。その認識の境界、そして、自分と世界との間にある境界、時間の連続性に対する認知の境界などを超えることを模索している。全ては、長い長い時の、境界のない連続性の上に危うく奇跡的に存在する。主な収蔵先に、ロサンゼルス現代美術館(ロサンゼルス)、ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館(シドニー)、南オーストラリア州立美術館(アデレード)、サンフランシスコ・アジア美術館(サンフランシスコ)、アジア・ソサエティ(ニューヨーク)、ボルサン・コンテンポラリー・アート・コレクション(イスタンブール)、ビクトリア国立美術館(メルボルン)、アモス・レックス(ヘルシンキ)など。

藤幡正樹メディアアーティスト。1956年東京生まれ。 東京藝術大学大学院映像研究科教授/ カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員教授。 非常に特異な哲学と、ユーモアに溢れた作品やプロジェクトは、国内・海外で高い評価を得ている。1996年の「Global Interior Project #2」で、アルスエレクトロニカ・フェスティバルにてゴールデンニカ(最優秀賞)を受賞。2009年、「Simultaneous Echoes」で芸術選奨を受賞。2013年「 Voices ofAliveness」 で優秀賞をアルスエレクトロニカで再び受賞。2016年、紫綬褒章受章など。

鎌谷徹太郎1979 大阪生まれ。 2007年、慶応義塾大学入学。東京を拠点に活動。 現在は香港、台湾、シンガポール、ニューヨークなど世界各地で作品を発表し、数々の国際アートフェアや個展で注目を集める。 海外で活動するにあたり ヨーロッパクリスティーズオークションの会長も勤め、美術史家でもあるハプスブルク大公ゲーザ氏とも親交が深く、ニューヨークでの活動支援を受けている。主な個展に Proliferation」(Pellas Gallery ボストン、2021)「Human Paradise-Portrait」(Gallery Cellar 東京, 2016)、「Human Paradise TOKOYO」 (Art Stage Singapore シンガポール、 2011)など。

監修者

飯田高誉1956年東京生まれ。 京都造形芸術大学国際藝術研究センター所長、慶應義塾大学グローバルセキュリティ講座の講師などを務め、 青森県立美術館美術統括監、森美術館理事を経て、スクールデレック芸術社会学研究所所長。東京大学総合研究博物館小石川分館にて現代美術シリーズ(マーク・ダイオン、杉本博司、森万里子展)を連続企画。 カルティエ現代美術財団(パリ)にてゲスト・キュレーション(杉本博司展、 横尾忠則展)。「戦争と芸術美の恐怖と幻影!~IV」 展( 京都造形芸術大学)シリーズ企画。コムデギャルソンの川久保玲の依頼により、アートスペース"Six" にて連続企画(草間彌生/ 横尾忠則/デヴィッド・リンチ/森山大道/宮島達男/ 中平卓馬など)。 第二回 「堂島リバービエンナーレ: エコソフィア」展のアーティスティック・ディレクターを務める。 主な著作に「 戦争と芸術美の恐怖と幻影(」立東舎、2016)、「文明と野蛮のアーカイヴ」(新曜社、2020)、共著に「アートと社会」(竹中平蔵 南條史生編著 / 東京書籍、2016)、「 エッジ・オブ・リバーズ・エッジ-〈岡崎京子〉を捜す」( 新曜社編集部編 2018)、「パブリック・ヒストリー入門- 開かれた歴史学への挑戦」(菅豊・北條勝貴編/ 勉誠出版、 2019)など。

企画者

高橋洋介1985年東京出身。キュレーター。金沢21世紀美術館キュレーター(2014–2021年)、角川武蔵野ミュージアムキュレーター(2021–2022年)を経て独立。最新の展覧会に、アメリカとニカラグアを拠点にリゾート、銀行、医療などの事業を十数カ国にわたり経営する貴族「ペラス家」のアルフレッド・ペラス4世のギャラリーにて「Liminalism」展(pellas gallery、ボストン、2023/02–04)など。金沢21世紀美術館での主な展覧会に「de-sport : 芸術によるスポーツの解体と再構築」(2020)、「DeathLAB : 死を民主化せよ」(2018–2019/コロンビア大学大学院との共同企画)、「 死なない命 」(2017–2018)、「Ghost in the Cell : 細胞の中の幽霊」(2015 -2016/オーストリアのアルスエレクトロニカへ巡回)など。他館での企画に 「未来と芸術」(森美術館 、2019/企画協力)、「 国立科学博物館の相対性理論」( 国立科学博物館、2018/展示監修)など。2018年に表参道で開催した「 2018年のフランケンシュタイン : バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま」(GYRE、2018)は200万人が 選ぶ東京のベスト展覧会1位に選ばれた。(TOKYO ARTBEAT)

詳しく見る

『超複製時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?ー分有、アウラ、国家権力ー』展

会期
2023年3月24日(金) - 5月21日(日) / 11:00 – 20:00
会場
GYRE GALLERY丨東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
お問い合わせ
0570-05-6990 ナビダイヤル(11:00-18:00)
主催
GYRE / スクールデレック芸術社会学研究所 / decontext
監修
飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所 所長)
企画
高橋洋介(decontext)
協賛
JT / Fla-Art
特別協力
Startbahn, Inc. / TART K.K.
協力
SCAI THE BATHHOUSE / Takuro Someya Contemporary Art / 一般社団法人スポーツ・オブ・ハート / スパイラル / 株式会社ワコールアートセンター / Gallery Shirakawa
技術協力
DMM.make / 3RD GEAR
吹抜意匠制作
C田VA(小林丈人 + 髙田光 + 太田遼)
会場デザイン制作 / 機材協力
Artifact 株式会社
デザイン
乗田菜々美(graphic potato)
PRディレクション
HiRAO INC
PRESS CONTACT
HiRAO INC|東京都渋谷区神宮前1-11-11 #608
T/03.5771.8808|F/03.5410.8858
担当:御船誠一郎 mifune@hirao-inc.com
関連企画
冨永愛 × TOMO KOIZUMI
NFT 作品「Light of Life」に見る、
ファッション・アパレルの未来