Photography : Katsuhide Morimoto (little friends)

My Archive

EYE OF GYRE

2018.03.17(SAT) - 04.12(THU)

〈visvim〉を手がける中村ヒロキさんによる、「My Archive」と題したエキシビションが
3月17日(土)から4月12日(木)までEYE OF GYREで開催されています。

雑誌『POPEYE』で続けてきた連載をもとに、
その集大成となる書籍『My Archive』(マガジンハウス)が刊行されるにあたり、
本人所有のコレクション・アイテムを一堂に公開。
中村さんにとって、大切なインスピレーションを与えてくれた「手仕事の美」が宿るアイテムを、
これほど数多く、間近に見ることのできる展示は、まさしく圧巻です。

公開の前日、その設営作業をようやくほぼ終えたばかりの中村さんに、実際の会場を案内していただきました。

今回の「My Archive」の展示を通して追体験できるのは、中村さんならではの、ものづくりの軌跡。
膨大な数にのぼるコレクション・アイテムは、果たしてどのように選ばれ、
新しいアイデアへと生まれ変わっていくのか。
こちらの、中村さんのご自宅で収録されたインタビューも、
ぜひあわせてお楽しみください。

Interview with Hiroki Nakamura ものづくりは、 心が反応することから。

Photography: Kiyotaka Hatanaka(UM) Interview & Text: Kosuke Ide Edit:Yasuyuki Takase, Naoe Hanamido(EATer)

雑誌『POPEYE』2012年6月号より連載中の、〈visvim〉クリエイティブディレクター・中村ヒロキの「My Archive」。中村さんが日々ものづくりするうえで、インスピレーションを受けてきたヴィンテージ・アイテムを紹介する同連載では、毎号、東西の多岐にわたる時代と場所で生まれた興味深いアイテムのコレクションが登場し、読者を驚かせてきた。

ネイティブ・アメリカンのレザー・モカシン、チベットの天然染色のブランケット、エチオピアの少数民族のハット、フランス・アルザス地方の羊飼いの傘、アーミッシュの子供服、エスキモーのスノー・ゴーグル、江戸時代の火消し半纏まで……。面白いのは、一般的に「コレクター」がある特定の時代や地域、作者やブランドなど既成の価値体系に即して蒐集を行うのに対し、中村さんのそれはまったくカテゴリーにとらわれない、非常に幅広く自由なセレクトであることだ。

反射的に"いいな"と 感じるものを選ぶ。

それらのアイテムの中から自ら選んだ品々を展示する展覧会を控えた中村さんに、
ものを選ぶこと、使うこと、そして新たな創造へとつなげることへの思いを伺った。

「ものを選ぶ基準は、自分でははっきりとわからないんです。本能的というか、反射的に“いいな”と感じるもの。まず心が反応して、頭で意味づけするのは後から。その順番が実は大事で、これが逆になってしまうと、本質的なものを見逃してしまうという気がします。ものが売られるときって、来歴やブランド、稀少価値などといった“説明”とセットになっていることが多いじゃないですか。だけど、そうしたプロファイルを知ってもピンとこない場合がある。それは自分の感性に刺さってないからですよね。そういう自分の感覚を大切にしたい。そして、心で感じたことと頭で考えたことをリンクさせる作業として、自分なりに掘り下げ、再構築していくことで、新たなプロダクトが生まれてきます。だから、いつもできるだけ先入観を持たずにものを見たい。難しいことですが、日頃から心がけています」

アンイーブン(不均一)な ものに惹かれる。

My Archive Interview with Hiroki Nakamura

人の手で作られたものに中村さんが感じる、
普遍的な価値や美しさ。その本質とはどんなところにあるのだろう。

「テクノロジーが発達し、デジタルな世の中ですべてがフラットになっていっているということもありますが、アンイーブン(不均一)なものに惹かれます。それはどこかで『人間らしさ』につながっている気がするから。今回、展示するチベットのヤク毛のローブの生地にも、染めムラがあるし、縫製のラインも歪んでいる。シルエットも左右対称ではありません。しかし、彼らにとっては『左右対称にしよう』という意識すらないでしょう。なぜなら、自然界の中には完璧に左右対称なものはないから。それが当然なんですね。僕も何から何まですべてパーフェクトな場所に身を置くと、少し気持ち悪いなと感じます。人間もキャラクターがある、個性的な人の方が惹かれますね」

ものづくりをする ということには責任が伴う。

My Archive Interview with Hiroki Nakamura

最後に、GYREのコンセプトである「SHOP & THINK」についての考えを聞かせていただいた。

「ものづくりをするということには、やはり責任が伴うと感じています。だからこそ、現代の生活において意味のあるもの、次の時代につながっていくものを作りたい。今回の展示では、自分がそうしたプロダクトを生み出すうえでインスピレーションを受けてきたものを並べ、自分なりの解釈を表現して、ものづくりのプロセスをシェアできればと思います。僕の見方だけでなく、見ていただくそれぞれの方が自分なりに何か感じてもらえたらと思いますね」

中村ヒロキ      〈visvim〉クリエイティブディレクター。1971年生まれ。2000年にフットウエアのブランドとして〈visvim〉を設立し、その後、ウエア、アクセサリー、フレグランスなど展開を広げる。2013年にレディスラインの〈WMV〉をスタート。2016年、フィレンツェで開催されるピッティ・イマージネ・ウオモに招待され、2017S/Sコレクションを初となるショー形式にて発表。GYREには、2013年にコンセプトショップ「F.I.L. INDIGO CAMPING TRAILER」、2014年にフラッグシップショップ「visvim」をオープンさせた。 https://www.visvim.tv/jp/

中村ヒロキ

My Archive

会期
2018年3月17日(土) - 4月12日(木) / 11:00 - 20:00 / 無休
主催
visvim
協賛
GYRE
協力
HiRAO INC
CONTACT
GYRE
03-3498-6990
会場
EYE OF GYRE - GYRE 3F

トークイベント

〈visvim〉クリエイティブディレクター・中村ヒロキさん、
『POPEYE』元編集長・木下孝浩さん、
エディター・井出幸亮さんによるトークイベントを下記の日程にて開催いたします。

日時
2018年3月31日(土) / 15:00 - 16:00
会場
EYE OF GYRE - GYRE 3F

*このトークイベントをご観覧いただくには、以下のとおり、事前のお申し込みが必要です

お申し込み方法
3月17日(土)〜23日(金)の間、GYRE館内の「EYE OF GYRE」と「visvim」、直営店「F.I.L. TOKYO」の3店舗いずれかにて、書籍『My Archive』をご購入いただき、その際に上記のトークイベントのご観覧を希望される方にお渡しする「申し込み用紙」よりお申し込みください。なお、本イベントの観覧人数には制限があるため、定員を上回るお申し込みがあった場合には、申し込み期間終了後に抽選を行わせていただきます。あらかじめ、ご了承ください。

『My Archive』

著者
中村ヒロキ
発行
株式会社マガジンハウス
サイズ
265×265mm
ページ数
120P
価格
¥3,800(税別)
※日本語・英語併記