19世紀後半、欧米社会に押し寄せたジャポニスムの波から一世紀半を超えて、今また日本の文化に熱い視線が寄せられている。その潮流の中、アール・ヌーボーにも、そしてリバティ・プリントにも影響を与えた伊勢型紙の世界を、100周年を迎える廣瀬染工場の伝統的技術によって染め上げられた反物や着物を展示することによって、現代に甦らせようとする試みが本展覧会となる。さらに江戸小紋の世界観にインスパイアされた建築家長坂常が4代目廣瀬雄一とコラボレーションすることによって、実験的な反物や着物の製作に関わり、江戸小紋の在り方を今一度捉え直す機会ともなっている。

デザインには伝統的幾何学的なものから、花鳥風月を象徴化したもの、江戸の人々の現実感覚や遊び心を映し出したものまで無数のバリエーションがある。幕末にシーボルトが浮世絵とともに膨大な型紙を持ち帰ったとの逸話もあり、そして、グラフィカルなこともあって、19世紀のヨーロッパの工芸、デザインに少なからず影響を与えたといわれている。実際の型紙は単なるデザインとは異なり、デザインが染めに生かされるためには、紙、道具、工程のひとつひとつにわたって職人の長い経験の上に培われた、知識を超えた身体的な感覚としての「技」が掘り込まれているのだ。 江戸小紋の二次元空間に包摂されているミクロの多元的な世界観を長坂常とのチャレンジングなコラボレーションによって、通常の物理法則が通じない時空連続体とも言われている「亜空間」を創出することをこの展覧会では試みていきたい。

廣瀬染工場の工房
江戸小紋の柄「鮫に山道」 廣瀬雄一
「comment?(コモン)」 廣瀬雄一
「Coloring」 長坂常
「Blue Bottle Coffee Kyoto Cafe」 長坂常
「UDUKURI」 長坂常
「Coloring」 長坂常
「Blue Bottle Coffee Kyoto Cafe」 長坂常
「UDUKURI」 長坂常

廣瀬雄一1978年生まれ。10歳の頃に遊びで始めたウィンドサーフィンにのめり込み、2000年のシドニー五輪の強化指定選手になるが、大学卒業後の02年に家業である江戸小紋の職人の道に進む。1919年創業の「廣瀬染工場」の4代目。昔ながらの着物地を染める一方、新たな模様をデザインしたり、ストールのブランド「comment?(コモン)」を立ち上げたりして、海外も含め幅広くその魅力を伝えている。ホームページ http://www.komonhirose.co.jp/

長坂常/スキーマ建築計画スキーマ建築計画代表。1998 年東京藝術大学卒業直後にスタジオを立ち上げ現在は青山に単独でオフィスを構える。 仕事の範囲は家具から建築まで幅広く及び、どのサイズにおいても 1/1 を意識した設計を行う。 国内外でジャンルも問わず活動の場を広げる。日常にあるもの、既存の環境の中から新しい視点や価値観を見出し、デザインを通じてそれを人々と共有したいと考えている。主な作品 建築:SAYAMA FLAT (2008) / 奥沢の家 (2009) / HANARE (2011) / TAKEO KIKUCHI SHIBUYA (2012) / 鳩ヶ谷の家 (2015) / 三軒茶屋の家 (2017) / 延岡の家 (2017) インテリア:イソップ青山店 (2011) / Cabane de ZUCCA 代官山店 (2015) / お米や (2015) / ブルーボトルコーヒー国内全店舗 (2015-2018) / デサントブラン国内全店舗 (2015-2017) / JINS上尾店 (2016) / カンペール新丸の内店 (2017) / 銀座ロフト (2017) 家具:UDUKURI / ColoRing / Flat Table 展示:HAPPA HOTEL (2009) / LLOVE (2010) / MARIKISKA IN TOKYO @ ROCKET (2012) / YCAM ARCHIVES EXHIBITION (2013) / ヴィトラ展示会場@ミラノサローネ (2015) / still moving@京都 (2015) / MAISON ET OBJET @ merci (2017)受賞歴 2008 5th International Bauhaus Award 2位 / SAYAMA FLAT / 2013 JCD アワード(金賞 / タケオキクチ渋谷明治通り本店、銀賞 / パパブブレ東京大丸店) / 2015 JCD アワード(銀賞&服部滋樹賞 / OKOMEYA、銀賞 / ブルーボトルコーヒー清澄白河カフェ&ロースタリー、ベスト100選:Enroute Ginza) / 2017 JCD アワード(銀賞 / ブルーボトルコーヒー中目黒カフェ、銀賞 / デサントブラン丸の内)

亜空間として形成する伊勢型紙・江戸小紋の世界 ―廣瀬染工場創業100周年記念―
長坂常(建築家) × 廣瀬雄一(江戸小紋職人)

会期 : 2018年7月17日(火) - 8月26日(日) / 11:00ー20:00 / 無休
主催 : GYRE
企画 : 生駒芳子(ファッション ジャーナリスト)
監修 : 飯田高誉(スクール デレック芸術社会学研究所所長)
グラフィックデザイン : 長嶋りかこ(village ®)
制作協力 : 廣瀬染工場
会場設営 : TANK
Pixel Furniture製作 : ニュウファニチャーワークス
衣桁製作 : super robot
協力 : HiRAO INC
CONTACT : GYRE(03-3498-6990)
会場 : EYE OF GYRE - GYRE 3F

長坂常 × 廣瀬雄一 トークセッション

日時 : 2018年7月19日(木) / 19:00ー20:00
モデレーター : 生駒芳子

*会場の関係上、入場者数に制限がございますのでご了承ください。